「第五福竜丸」ビキニ環礁での水爆事故から60年!

1954年3月1日、
アメリカ軍の水素爆弾実験によって被爆した漁船・第五福竜丸。

日本は広島・長崎の原爆降下に続いて3回目の原子力災害を受けました。

ここでは、第五福竜丸の被爆が起こった背景や
これをきっかけに日本国内が核に対して
どのように変わっていったかについてご紹介したいと思います。

また、ニュースなどでは分かりにくいと感じる方も多いですので
第五福竜丸を題材にした映画や絵本などの作品についても
触れていきたいと思います。


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アメリカの見通しが甘かったため『安全区域』にいた第五福竜丸も被爆

『第五福竜丸(だいごふくりゅうまる)』とは
1954年3月1日にアメリカ軍の水素爆弾実験によって発生した
『死の灰』と呼ばれる多量の放射性降下物を浴びた
遠洋マグロ漁船のことです。

この日、第五福竜丸は
ビキニ環礁(かんしょう)でのアメリカ軍による
水爆実験『キャッスル作戦』に巻き込まれて被爆しました。

実験当時、第五福竜丸は
アメリカが設定した危険水域の外で操業していました。

危険を察知して海域からの脱出を図りましたが
時間がかかってしまい
船員23名全員が放射性降下物の灰を数時間に渡って浴びてしまいました。

後にアメリカは危険水域を拡大し
第五福竜丸以外にも危険水域内で
多くの漁船が操業していたことが明らかとなりました。

この水爆実験によって
放射性降下物を浴びた漁船は数百隻に上るとみられ
被爆者は2万人を超えるとされています。

この事故が起こった原因は
当初アメリカ軍が爆弾の威力を
低く見積もっていたことにあります。

しかし、実際にはその予想をはるかに超える威力があったため
安全区域にいたはずの多くの人々が被爆することとなりました。

3月14日には第五福竜丸が焼津港に帰還し
静岡大学で検査を受けました。

そして、16日の検査で
船体から30m離れた場所で放射線を検出したことから
人家から離れたところへ船を係留するよう指示を出し
鉄条網が張られた状態で係留されました。

その後は文部省(現・文部科学省)が船を買い上げ
8月に東京水産大学(現・東京海洋大学)品川岸壁に移されました。


この事故をきっかけに、日本では反核運動が活発に

第五福竜丸の水爆実験による被爆は
太平洋戦争における広島や長崎への原爆投下に次ぐ
『日本を巻き込んだ第三の原子力災害』となりました。

日本は原子爆弾と水素爆弾の両方の兵器による
原子力災害を経験した国となりました。

原子爆弾は原子の『核分裂反応』を
水素爆弾は『核融合反応』を利用して作られる爆弾で
威力は水素爆弾の方が上です。

第五福竜丸の被爆を受け
久保山愛吉無線長が被爆から半年後の
1954年9月23日に亡くなりました。

彼は『原水爆による犠牲者は、私で最後にして欲しい』
と遺言したことにより
日本では反核運動が始まるきっかけとなりました。

東京都杉並区の主婦による反核運動や
1955年に設立された『原水爆禁止日本国民会議(原水禁)』
に代表される反米色が強い運動についても
この事件が動機となっています。

また、第五福竜丸の被爆によって
焼津や東京では『汚染マグロ』が大量廃棄されました。

築地市場内にそれらが埋め立てられ
『原爆マグロ塚』が立てられました。

また、第五福竜丸の事件を受けて
東映の怪獣映画『ゴジラ』が製作されました。


映画や絵本で、第五福竜丸の被爆と核について考える

最後に第五福竜丸の事件を元にした映画や絵本について
ご紹介していきたいと思います。

子供たちにとっては少し難しい話かもしれませんが
核兵器の脅威について映画や絵本をきっかけにして
家族で考える時間を持つのも良いのではないでしょうか。

まずご紹介するのが、事件の5年後1959年に
新藤兼人監督によって製作された『第五福竜丸』という映画です。

こちらは事件の半年後に死亡した久保山愛吉を
宇野重吉が演じました。

また、大阪万博のシンボル『太陽の塔』を製作した芸術家・岡本太郎は
『明日の神話』と呼ばれる巨大壁画を東京都渋谷区に製作しました。

そして、第五福竜丸を題材にした絵本について
2冊ご紹介したいと思います。

まずは、山口勇子作・童心社『おーい、まっしろぶね』です。


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これは子供向けの反核童話絵本です。

一方で、赤坂三好作・金の星社『わすれないで―第五福竜丸ものがたり』は
子供向けの絵本ではありますが
大人向けの解説と資料も詳しいことが特徴です。

第五福竜丸が被爆してから2014年で60年になります。

東日本大震災の原発事故もあったため
最近では反核の声が多く上がってきています。

毎年3月1日には、第五福竜丸を思い出しながら
核について考えてみるのはいかがでしょうか?




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