北朝鮮 張成沢氏の逮捕から処刑までのスピードは異例! 『独裁国家』とは?

2013年12月12日、北朝鮮のナンバー2でありながら急に姿を消した、張成沢氏が裁判にかけられ、同じ日に処刑されました。

ここでは、北朝鮮をはじめとした『独裁国家』について、ご紹介していきたいと思います。

『独裁』と聞くとネガティブなイメージしかない方もいるかと思いますが、国家の発展が望める『開発独裁』についても少し触れたいと思います。


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北朝鮮 板門店



クーデターや内戦によるものが多いが、民主主義から独裁者が誕生することも!

独裁政治とは、一個人や少数者もしくは一党派が絶対的な政治権力を独占して握る政治体制を指し、独裁政治が行われている国家を独裁国家と呼びます。

このシステムの歴史は古く、『独裁政治』という言葉は戦争や内乱などの非常事態において、法的委任の手続きに基づいて独裁官に支配権を与える、古代ローマの統治方法に由来しています。

一般には社会の混乱期や経済の長い停滞期に独裁政治が生まれがちです。

そして、社会の授業で『絶対王政』という言葉を習ったことがあるかと思いますが、これと独裁政治との違いはいくつかあります。

基本的には独裁政治は世襲を伴わないことが多く、絶対王政においては固定的または身分的な支配層が被支配層を支配しますが、独裁では支配者と被支配層の身分が基本的には同一です。


基本的には、クーデターや内戦などの軍事的手続きにおいて独裁者が生まれる場合が多いですが、中には民主主義的な手続きの結果として独裁者が誕生することもあります。

たとえば、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーは民主憲法である『ヴァイマル憲法』の下で独裁化した例になります。

独裁的な政治体制の下では、体制について批判することは許されず、個人の自由は制限されます。

一方で、独裁制はトップの意思の伝達がスムーズに行われるため、有能な独裁者が明確なビジョンを持って独裁を行った場合、国家が大幅に発展するケースもあります。

こういった体制は20世紀後半の東アジアや東南アジアに多く見られ、『開発独裁』と呼ばれました。

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憲法に『独裁』を規定しているのは中国と北朝鮮

現存する国家の中で、憲法などで公式に『独裁』を明記している国は中華人民共和国(中国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)です。

中国では憲法に『社会主義』、『独裁』、『党の領導』を明記していて、中国共産党の規約にも『人民民主主義独裁』と明記してあります。

また、北朝鮮では2009年に改正された憲法に、中国と同じく『社会主義』、『独裁』、『党の領導』を明記しています。

拉致問題や核実験などでニュースを騒がせている北朝鮮ですが、最近では金正恩(キムジョンウン)第1書記の叔父である、張成沢(チャンソンテク)元国防委員会副委員長の件が大きな話題になっています。

張氏は金正恩第1書記の叔母の夫であり、最近までは正恩氏に次ぐ北朝鮮のナンバー2と見られていました。

しかし、2013年12月8日の朝鮮労働党政治局会議において、国防委員会副委員長などの役職をすべて解任されました。

朝鮮中央通信によると、張氏は『あらゆる策謀と卑劣な手段を用いて国家転覆をはかった反逆者』とされ、12日に特別軍事裁判にかけられました。

そして、裁判において起訴内容をすべて認めたとされ、同日中に死刑が執行されたといいます。

また、同通信の報道では張氏について、党と指導者を裏切った『卑劣な人間のくず』であり、『犬よりひどい』人物であると描写しています。


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今回の一件は国際社会にも大きな影響を与えました。
北朝鮮の歴史において、上層部の処刑が公に発表されることは今までなく、今回の大々的な逮捕や処刑は前代未聞であるといいます。

アメリカ政府の高官は、まだ事実関係を確認したわけではないとしながらも、『指導部の1人に対する情け容赦のなさは、北朝鮮と新指導部がいかに国際社会の基準から逸脱しているかを改めて印象付けた』と語りました。


『豊かな独裁国家』トルクメニスタンとは?

最近では、独裁国家について紹介するバラエティー番組も多数あります。
その中でもよく話題に上るのがトルクメニスタンという国です。

トルクメニスタンはウズベキスタンやイラン、アフガニスタンなどと隣接している国であり、『中央アジアの北朝鮮』と呼ばれています。


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トルクメニスタン



冷戦の時代、この国は旧ソ連に属する1つの共和国でした。

しかし、ソ連の崩壊を受けて1990年に大統領選挙が行われ、二アゾフ氏が当選、翌91年には独立しました。

しかし、二アゾフ氏は独裁政治を行い、2005年には首都以外の病院と図書館の閉鎖を命じるなど、理解不能な政治を行っていました。

そのニアゾフ氏は2006年に突然死去し、直後の大統領選挙でベルディムハメドフ氏が約90%という驚異的な得票率で当選しました。

政権交代によって民主化が進むと期待されましたが、依然として独裁は続いています。

また、トルクメニスタンの政治のもう1つの特徴として、『永世中立』を宣言しているという点が挙げられます。

これは1995年に国連総会で認められ、外国軍の駐留や通過などを認めていません。

この国家戦略を選択した背景には、埋蔵量世界4位といわれる『天然ガス』の存在があります。
そのため、北朝鮮とは異なりトルクメニスタンは『豊かな独裁国家』とも呼ばれています。


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