日本は何位?『PISA』の学習調査の結果と『ゆとり教育』の関係

2013年12月3日、国際機関OECDが行った学習調査『PISA』の結果が出ました。

この順位が2003年に下がったことから、『ゆとり教育』への批判が高まりました。

また、ゆとり教育から脱却したあとの順位はどうだったのでしょうか?

ここでは、3年に一度行われる『PISA』について、
日本の事情を中心にお伝えしていきたいと思います。

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OECDが実施する、義務教育終了の生徒を対象にした調査

生徒の学習到達度の国際調査である『PISA(ピサ)』。

この調査の結果が出るとニュースで報道されているので、ご存知の方も多いと思います。

正式名称は『OECD生徒の学習到達度調査』であり、
『Programme for International Student Assessment』の頭文字を取って
『PISA』と略されています。

OECDとは、ヨーロッパや北米などの先進国によって国際経済全般について協議することを目的とした国際機関であり、正式には『経済協力開発機構』という名称です。

現在の加盟国は34カ国であり、日本は1964年に加盟しました。

PISAではOECD加盟国の多くで義務教育の終了段階にある15歳の生徒を対象に、
『読解力』、『数学知識』、『科学知識』、『問題解決』について調査します。

調査プログラムの開発が始まったのが1997年のことであり、
第1回調査は2000年に行われました。

そして、以後3年ごとに調査することになっています。

調査にはメインテーマが存在し、読解力、数学的知識、科学的知識の順番で
メインテーマが移っていきます。

最近では2012年に調査が行われましたが、
メインテーマは『数学的リテラシー』でした。

そして、調査データファイルがすべて公開されているので、
公式サイトで入手することが可能です。

ただし、結果を分析するのに通常1年ほどの時間を要しています。



pisa1


『ゆとり教育』と深い関係がある、日本の順位

続いては、PISAの調査方法と日本の順位の移り変わりについて
ご紹介したいと思います。

PISAは調査開始時において、15歳3ヶ月から16歳2ヶ月の生徒がテストされ、
学年は考慮されません。

自宅学習者は除外され、学校教育に参加している者のみを対象としています。

生徒たちは各2時間の筆記試験を行います。
試験の一部は複数選択肢式の問いであり、一部は全記述式となっています。

全部で6時間半の試験がありますが、生徒たちは全ての問いを答えるわけではなく、
一部を答えます。
また、生徒は学習習慣や学習動機、家族などに関する問いにも答えます。

学校の管理者は学校の基本属性の特徴や財政基盤などに関する問いに記入します。
テスト問題のサンプルはOECDのサイトから入手することができます。

読解力のサンプルテストと模範解答を確認すると、
○か×かで答えるような問題であっても、
その後に続く理由付けが良ければどちらも正解となっています。

続いては、PISAにおける日本の順位の変遷についてご紹介してきます。
最新の2012年の結果については後ほどお伝えするので、ここでは割愛します。

また、点数によって順位を決定していますが、
この点数は全参加国の平均点が500点となるように計算されています。


※箇条書きの頭の『○』はその年の調査のメインテーマを指します。

【2000年調査】OECD加盟国28カ国を含む32カ国、約26万5千人の生徒が参加
・数学的リテラシー:1位
○読解力:8位
・科学的リテラシー:2位

【2003年調査】加盟国30カ国を含む41の国と地域、27万5千人の生徒が参加
○数学的リテラシー:6位
・読解力:14位
・科学的リテラシー:1位
・問題解決能力:4位(この年に初めて出題されました)

【2006年調査】56の国と地域が参加
・数学的リテラシー:10位
・読解力:15位
○科学的リテラシー:5位

【2009年調査】65の国と地域が参加
・数学的リテラシー:9位
○読解力:8位
・科学的リテラシー:5位



また、この年の調査では調査に参加した中で19の国と地域において
『デジタル読解力』についての調査が行われ、日本は4位でした。

2000年の初回調査以降、参加国や地域は増加傾向にあります。
日本の成績は2003年、2006年と続落したため、
『ゆとり教育』の問題点が指摘されました。


そして、ゆとり教育からの脱却を目指して学習指導要領が全面改訂ましたが、
その後の2009年は3分野全てにおいて順位が上昇しました。


2012年の結果が発表!日本の順位と今後の課題は?

OECDは2013年12月3日に、2012年に実施したPISAの結果を公表しました。
今回は65の国と地域に住む、約51万人の生徒を対象に調査が行われました。

日本は3分野全てにおいて、調査開始以降最も高い平均点を記録
順位も前回を上回りました。

前回に引き続き、3分野全てでトップだったのは上海でした。
上海・香港・シンガポールの3つの国・地域がトップ3を独占しているという状況です。

以前は上位の常連だったフィンランドは順位を落とし、低調傾向にあります。

今回の調査では、『ゆとり教育』からの脱却が功を奏したと言えますが、
まだまだ課題も残っています。
その1つが、『日本の生徒の学習意欲の低さ』です。

数学の学習意欲があると答えた生徒は38%に留まり、
これは参加した国・地域の中で下から4番目の低さでした。

OECDは、『学ぶ意欲と習熟度の高さには関連がある』と指摘していて、
『数学が今後の人生にどう役立つか』といったことを教えられるような、
教員の能力が求められています。


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