感染力が強く下痢や嘔吐を引き起こすノロウイルスとは?

寒い日が続いていて、インフルエンザや風邪などの予防をしている方も多いと思います。
また、最近では給食などで集団感染を起こす、ノロウイルスの脅威もニュースなどで多数報道されています。

ここではノロウイルスが他のウイルスとどのように異なるのかをお伝えしてから、ノロウイルスの感染拡大を予防する方法や、万が一かかってしまった場合の対処法などについて触れていきたいと思います。

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消毒への抵抗性と、下痢や嘔吐が特徴

ノロウイルスとは、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスのひとつです。

カキなどの貝類を食べて起こる食中毒の原因になるほか、このウイルスに感染した人の便や吐しゃ物、あるいはそれらが乾燥したものからでる埃などを介して経口感染します。
日本だけでなく、世界各地の学校や養護施設などで集団感染が発生しています。

ノロウイルスは1972年に電子顕微鏡による観察でその形態が明らかになり、『ノーウォークウイルス』や『小型球形ウイルス』と呼ばれていました。

そして、ウイルスの遺伝子解析が進み2002年には、第12回国際ウイルス学会において『ノロウイルス』という名前が正式に定められました。

ノロウイルスは乳幼児から高齢者にいたるまで、幅広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こします。11月から3月の冬季に多発するものの、年間を通して患者は見られます。

さて、ノロウイルスの特徴はどのようなものがあるのでしょうか?
3つのポイントをご紹介したいと思います。

・下痢だけでなく、嘔吐が多い
下痢であれば、ウイルスはトイレで流されるため広がりにくいのですが、嘔吐の場合はそうは行きません。適切に処理・消毒をしなかった場合はウイルスが床に残り、乾燥して埃とともに空気中に舞い上がり、感染が広がる危険性があります。

・消毒薬に対する抵抗性が強い
ノロウイルスは『エンベロープ(宿主細胞の膜)』と呼ばれるものを持っていないため、アルコールや高温に対する抵抗性が強いことが特徴です。また、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていられるという特徴があります。

・一度かかっても、何度も感染することがある
ノロウイルスには多数の遺伝子型が存在するので、同じ人が複数の型のノロウイルスに感染することがあります。そのため、『一度かかったから大丈夫』と油断せず、予防に気をつけることが大切です。


日々の生活で、ノロウイルスをしっかり予防しよう!

それでは、ノロウイルスを予防するためにはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか?予防のポイントについて、ご紹介していきたいと思います。

■・食事の前やトイレの後は、石鹸を使ってしっかりと手を洗う
■・タオルなどを共用しないようにする
■・下痢や嘔吐の症状がある場合、食品を直接取り扱う作業をしない
■・食品の中心温度が85℃で1分以上になるように、熱を通して食べる
■・便や吐しゃ物の処理は素手で行わず、必ずビニール手袋を使用する
■・汚物の消毒は市販の塩素系漂白剤を薄めて行う

ノロウイルスは感染力が強いので、しっかりと予防を行いましょう。


脱水症状に気をつけるのが最重要

最後に、ノロウイルスに感染してしまった場合の対応についてご紹介したいと思います。

まず、ノロウイルスに感染してから発症までの『潜伏期間』は24~48時間で、主症状は吐き気や嘔吐、下痢や腹痛であり、発熱は軽度であるのが特徴です。また、症状は通常であれば1~2日ほどの続いた後に治癒し、後遺症が残ることもありません。

ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあるので、注意が必要です。また、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状のみの場合もあります。

さて、ノロウイルスの治療については有効な抗ウイルス剤が無いため、通常は対症療法が行われます。ここでは、ノロウイルスにかかった場合のすごし方などについてご紹介します。

・強い下痢止め薬を服用しない
下痢の症状が辛いからといって、強い下痢止め薬は飲まないようにしましょう。無理に下痢を止めることでウイルスが腸管内に溜まってしまい、病気の回復を遅らせる場合があります。

・脱水症状を予防する
下痢と嘔吐により、体内の水分が失われてしまうので、脱水症状に注意が必要です。適切に水分補給を行うようにしましょう。

・胃腸に優しい食事を心がける
ノロウイルスの症状がひどいときは、無理に食事をとらなくても良いでしょう。食べられるようになったら、胃腸に負担をかけない消化の良いものを食べましょう。具体的には、おかゆや鶏のささみ、白身魚、りんごのすりおろし、緑黄色野菜のスープなどです。

ノロウイルスを発症している場合は刺激が強い食べ物を避けるようにしましょう。たとえば、揚げ物や中華料理などの脂っこい食べ物、ごぼうやタケノコ、豆や海藻など食物繊維が多い食べ物、カレーなどの香辛料を使っている食べ物などは食べないようにしましょう。

感染力が強いノロウイルスですが、予防法と対処法を知っておけば不安に感じることはありません。まだノロウイルスのシーズンは続きますので、日々の生活で1人1人が気をつけていきましょう。




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